この課では、形容詞について学習します。

名詞を修飾する用法

名詞を修飾する形容詞は、名詞の前に置きます。

(1)大きい家
(2)小さな子供
(3)よい車
(4)美しい女性

見て分かる通り、名詞の前に形容詞が来ていますね。これで名詞のカタマリが出来ましたから、これらが主語や補語になれます。例文を読んで練習しましょう。

(5)彼は新しい医者です。
(6)あの方はよい先生でいらっしゃいます。
(7)これは生の肉です。
(8)エチオピアは美しい国です。

(5)と(6)の例文は第2課で学習した人称代名詞を用いたものです。主語と動詞が一致しているか、確認しましょう。

(7)はይሄという指示代名詞が主語です。後の課で述べますがይሄというのは男性単数として扱う代名詞です。したがって動詞もそれに対応するነውになっています。

ちなみに、エチオピアには生の牛肉を食べる習慣があります。昔はお祝い事などで供されたようですが、現在の都市部ではちょっとしたご馳走感覚で食べに行く人も多いようです。大変おいしいのですが、安全面からいうとやはりおすすめは出来ません。お腹を壊す確率は高く、それもかなり症状がひどいそうです。中るだけならいいのですが、寄生虫となると厄介です。そんなわけですからエチオピア人の中にも「生肉はちょっと・・・」という人も多いです。管理人は無謀にも数回食べましたが、幸いにも中ったことはありません。毎回ビクビクしながら食べておりました。おすすめはしませんがもし挑戦してみたい方は、入荷日や店の込み具合、回転率など事前に良く下調べをし、万全の体制と覚悟を決めたうえで臨んでください。

(8)の例文は主語がኢትዮጵያですが、それに対応する動詞はናትと女性形になっています。これは単なる習慣で、「母なる国エチオピア」という表現があることから来ているのでしょうか。通常エチオピアは女性名詞扱いです。名詞の性については後に触れます。

補語としての用法

形容詞は第2課で学習したコピュラ動詞と共に用いて、主語の状態や性質を表す「補語」としての役割もあります。例文を見てみましょう。

(9)はእሷが主語で、次にጎበዝという形容詞が来ています。これが補語にあたります。「彼女は勤勉だ」ということです。

(10)「あなたは背が高い。」

(11)はአማርኛが主語です。「アムハラ語は難しい。」(言語はみんな難しいですけれどもね・・・。)

(12)はእንደምንという疑問詞がありますが、「どのような状態」というように文法的には形容詞の役割を果たしますからこれが補語だと考えるべきでしょう。「どんな状態ですか」ということはすなわち「お元気ですか」というような意味になります。挨拶としてよく使います。

(13)は(12)እንደምን ነሽ?に対する答えです。「元気です」といことですね。

日本語では「元気?」と聞かれて、調子が悪い時には「風邪をひきまして・・・」などと正直に言う傾向があるように思えますが、アムハラ語ではとりあえず「元気だよ」と嘘でも言ってしまう傾向があるように思います。ということは、このደህና ነህ(ነሽ)? ደህና ነኝ።というのは挨拶の、何と言いますか一種の定型表現で、ደህናという単語にもはや本当の意味での「元気、健康」という意味はなくなってきているのではないかな、というのは卑見です。

練習問題

【問題】重子音に気を付けて音読し、日本語に訳しましょう。

解答例