重子音について

アムハラ語では文法上、あるいは単語として、ある子音を長く発音するものがあります。一言で言ってしまえば、日本語の「小さい『っ』」のようなイメージです。そのようなものをこのサイトでは「重子音」と呼ぶことにします。英語の教材を使う方はたいていの場合geminate, gemination, geminated consonant, double consonant などという表現がされています。呼び方はどうでもいいのですが、どういうものかは必ず理解していただきたいと思います。

とはいえ、この「重子音」は日本語を母語とする人には、さほど難しいものではありません。「来た」と「切った」や「自習」と「実習」などは日本語母語話者にはなんの苦労もなく違いが判ると思います。ちょっと余談ですが、日本語では「促音」だけでなく、「仮名」「カンナ」のように撥音「ん」で表す場合もありますね。

アムハラ語では重子音であるかそうでないか、によって意味に違いが出てくるのは、日本語ほど多くはない印象です。しかし、文法をやっていくとこの重子音は避けて通れませんので、しっかりと覚えて発音するようにしましょう。はじめは意識するためにも、少し大げさにやることをお勧めします。

ただし、日本語の促音(あるいは撥音)と、アムハラ語の重子音が全く同じように聞こえるかと言われればそれは違います。発音を聞いただけではどちらとも言えないような場合も多いです。また、アムハラ語母語話者も、重子音を意識しているかというと、これはかなり怪しいと思います。事実、ローマ字転写をする際も重子音を反映させることはまずないですし、重子音かどうか聞いてみても、答えられる人はあまりいません(一応学校で習うようですが)。この辺りは今後の研究成果が待たれるところです。

エチオピア文字とのかかわりはこちらのページもご覧ください。

長くなりました。学習者としては、しっかりと意識して発音しましょう。理論を知ったうえでネイティブの真似をすると上達が早いですよ。

アクセント

アクセントとは、ざっくり「どこを強く発音するか」ということだと思ってください。言語学者の方から怒られそうですが・・・。

さて、アムハラ語には「どこを強く発音するか」という規則はありません。少し言語学的に言うと、「音韻的に有意義なアクセントを持たない」ということです。日本語では「ハシ」という語は発音の仕方で3種類に分けられ「箸」「橋」「端」の意味の区別をします。一方アムハラ語は声の強さや高さで語の意味が変わることはありません。ですので、ネイティブの発音を適当に真似しておけば十分です。

イントネーション

日常生活では「アクセント」と「イントネーション」はあまり区別しない方が多いと思いますが、語学の学習においてこの2つは異なった概念です。イントネーションは言葉の抑揚のことで、発話者の意図や感情、すなわち「疑問」「驚き」などを表すための声の上がり下がりを言います。アムハラ語のイントネーションについては今のところ詳細な研究がほとんどなく、今後の研究が待たれます。

基本的に疑問を意図する場合、語尾を上げ調子で発音することが多いですが、疑問詞を含む場合や付加疑問の場合は語尾を下げるなど、なかなか難しいものがあります。語学の基本ですが、結局ネイティブの真似をするのがよいでしょうね。すぐに慣れますよ。

発音練習

模範解答の音声は後日アップします。少々お待ちください。