እንጀምር!
いよいよ文法の学習を始めます!
第1課ではアムハラ語の文の組み立て方をざっくり見ていきます。ここでは特に覚えることはしなくても構いません。アムハラ語の文を作るにあたって、どんな構造をしているのかが大まかにつかめればそれでOKです。
※以降の文法講座では基本的にエチオピア文字を一通り覚えていることを前提として話を進めていきます。ただし、エチオピア文字はいかんせん数が多いので、今の時点で全てを完璧に暗記している必要はありません。ざっくりと基本的な形(特に第1列の文字)と基本的な仕組みを覚えたら、実際の単語に当たってコツコツと細かい部分まで覚えていきましょう。慣れるまで、そんなに時間はかからないと思いますよ。
語順
前口上が長くなりました。ではさっそく、下の文を見てみましょう。
この文は
「私は日本からエチオピアに来ました。」という意味です。
見たところ空白が3か所あり、4つのカタマリでできていることが分かります。分かりやすいように色を付けてみました。それぞれどういう意味のカタマリなのか見ていきましょう。
まず黒の
እኔ
ですが、これは「私」という意味の代名詞です。これが主語になっていますね。
次に赤色の
ከጃፓን
ですが、これは実は2つの要素からなっています。1文字目のከは「~から」という前置詞で次に名詞を取ります。その際空白をあけないのが普通です。ですからここは「日本から」という意味になります。
青の
ወደኢትዮጵያ
も2つの要素から成り立っています。はじめの2文字ወደはやはり前置詞。「~まで」「~に」という到達点を表します。その次に来ている名詞ኢትዮጵያは分かりますね。そう、「エチオピア」です。ですからこのカタマリは「エチオピアに」ということになります。
最後の緑色、
መጣሁ
は「来た」という意味の動詞です。ですので、全体として「私は日本からエチオピアに来ました」という意味になります。
いかがでしょうか。基本的にアムハラ語の語順は
主語ー様々な要素ー動詞
の順番をしています。「~を」の要素も動詞の前に来ますので、日本語の語順に近いと思われたのではないでしょうか。さらに、文脈によっては主語が先頭に来なかったり、そもそも主語を言わなかったり、語順は比較的自由であると言えます。大切なことは動詞が最後に来ることがほとんどだ、ということ。実際の会話などではこの通りにいかない場合も多くありますが(分裂文など)、初めのうちは基本的な文構造を学習しましょう。
主語と動詞
アムハラ語の動詞は誰が行う動作かによって形がさまざまに変化します。次の文を見てみましょう。
黒字の部分は同じですから、赤い部分に着目してみましょう。はじめの主語が「タロウ」になっています。そして末尾の赤い文字መጣは動詞のはずですが、先ほどの文のものመጣሁとは違う形をしています。これは「来た」という動作をしたのが「タロウ」になっていることによって、動詞の形が変化したのです。少し一般的に言えば、「動詞は主語の人称によって変化する」ということです。英語以外の西洋の言語を学習したことのある方であればピンとくると思いますが、英語ではほとんど残っていませんし、日本語には無い概念なので、覚えておきましょう。
アムハラ語の学習に壁があるとしたら、文字の壁の次に立ちはだかるのが「動詞の活用の壁」でしょう。しかもこの壁は何層にもなって我々の前に立ちはだかり、かなり学習が進んでも、言ってしまえば、学習を続ける限り苦労することになると思います。脅かすわけではありませんが、これは事実ですから仕方ありません。
具体的にどのようなものであるかは後の課に譲ります。
疑問文
相手に何か尋ねたい場合はどうしたらよいでしょうか。英語の場合は主語と動詞を倒置させたり、助動詞を使ったりと色々とややこしいですよね。
アムハラ語の場合は簡単です。「はい」か「いいえ」で答えられる疑問文の場合は、語尾に上げ調子のイントネーションを付けることによって作ります。疑問詞を含む疑問文(誰が~ですか?など)では、尋ねたい部分を疑問詞に変えてやるだけなので簡単です。この時はイントネーションは上げ調子にしないのが普通です。
第1課のまとめ
- 基本語順は動詞が最後
- 動詞の形は主語によって変化する
- 疑問文はイントネーションと疑問詞で